囚われてるのはあたしだったか。

ミステリーの古典的設定
なのだそうだけど
お屋敷、お世継ぎ、
家族の愛憎、幽閉・・・
結局
こういうのが好きみたい。
米澤さんという人は
読んだことがなかったのだけど
探してみると
この「玉野五十鈴」の中に出てくる
お嬢様が所属する
詩の朗読会「バベルの会」
つながりで
ほかにも小説があると。
無性に読みたくなったので
きのうは
20時まで働いたあと
この時間までやっている
神田駅前の書店に
寄ることにした。
ったく
本の街に勤めてるってのに
一番大きなS省堂の閉店に時間にさえ
間に合わない。
そして
隅田川を越えた
「墨東」と来たら
駅に書店のひとつもないのだ。
近所で居酒屋姐さんをやりたかったけど
本屋でもやるか?
需要はあると思える。
さて
まんまと手に入れたものの
電車に乗ると遠回り。
寒い夜だったけど
歩いて帰ることに。
そうそう、これも
地震の備えってことで
徒歩帰宅久しぶりに。
帰りついて
腹は減っているものの
読みたくてしょうがない。
きのう大量に作った
ぶた汁(我が家では
とん汁とは呼ばないならわし)
をあたためながら
その横で
正月の残りの丸餅を
網に載せて
’超’がつくくらいの弱火で焼き始める。
スツールに座って
もちを見張りつつ
『儚い羊たちの祝宴』を読む。
一日あけていた家は
ここが一番あたたかい。
一石二鳥ではないか。
外側は
少しこんがり焼けて
中から見え始めた
白い部分がさらにふくらみはじめた頃
短篇をひとつ読み終わったので
強火にして
網の上でぷくーーーっと
はじける直前に
おわんに取る。
そこへぶた汁つゆだくで!
最高にうまうまな
晩ごはん。
体はよーくあったまったのだった。
銭湯に行こうか?
と、思い我慢していたビールだけど
あったまると欲するのが
人のサガ。
あ、いやあたしのサガ。
っつうことで
プルトップひいて
残りの短篇を一気に読んでしまった。
一応
「バベルの会」が登場するだけあって
(そのことにはあまり意味を感じないけど)
どれもちょっと昔の
ハイソな人たちの
ちょっと壊れた感情が
動かす物語。
どれも
面白かったけど
やはり前日に読んだ
「玉野五十鈴」が一番だった。
でも
一気に読んで
もったいないことしたかな。
もうちょっと
ゆっくり楽しんで読むこともできたのに。
またのどが渇いたあたしは
次は三島のお屋敷ものを
手にとっている。
角○文庫にしては
いいのだ、この企画。
たまにこういう病気にかかる。
囚われてる・・・