山形の旅思い出し話①

誰か山形に花見に行かない?
このところ「誰か」
でひっかかる人なら
誰でもいいや、という関係に
なってきた中高仲間の一人、
渋谷のYがそうつぶやいたのが
2月ごろだっけ。
遊びのことなら
乗っかります!
な、あたしがまず手をあげ
花見の時期を調べ、
まず日程決定。
どうやら4月の中旬が例年の開花日。
でも花が咲いてないんじゃ
しょうがないから
散りかけの方にかけ、
さらにGWにぶつけたくないので
4/24-25の土日に決定。
それにしても
地味だなぁ、山形。
そりゃYは将棋好きだから
天童っていう目的もあって
「そこに行ければ十分」
なんて言うけど
将棋だけじゃなぁ。
本屋にでかけて
ガイドブックを立ち読みしても
どれも買う気にならないし。
うーん。
ところが
まわりにそんなこと
グチってみると
会社には山形出身の子がいて
実家が自然食レストランやっていたり
仙台出身の☆が
「親が山形は食材がすばらしいとか
言ってたよ」
なんて情報をくれる。
そっか、食べ物か。
検索語をちょいと
変えてみると
ひっかかるひっかかる。
ヤバイ。
途端に行きたいところが
増えまくってしまった。
神楽坂のYが参加を決めたところで
宿は鶴岡湯田川温泉の「九兵衛旅館」に決める。
やたら出てくる山形の名産
「孟宗竹」が食べられるらしい。
HPでも食事を前面に出してる感じだ。
いいねいいね、
多少高くても
美味いもの食おう。
とりあえず3人から5人泊まれる部屋をおさえ
他にも声をかけるとひっかかったのは
Aっちゃん。
じゃあ4人で行きましょうかぁ!
鶴岡に泊まり
将棋の天童に行かねばならず
Fが「最上川の船には乗りたい」と言う。
あたしはあたしで
うちのバイトちゃんの実家のお店にも
行ってみたい。
これは忙しいことになりそうだ・・
で、スケジュール組んでみた!
一日め:東京→最上川→鶴岡
二日め:鶴岡→東根→天童→東京
つまり山形半周ぐらいな
移動距離なんですな~。
お金の方の問題は
Aちゃんが見つけてくれた
ウィークエンドパスというので
どうやら鶴岡までカバーできるらしく
切符を買いに行った際
JRの職員にも「正しい」と
おほめの言葉を頂いたのだけど
いかんせん接続が悪く時間のロスも多い。
一本の電車も逃せない状態の
スケジュールを組む。
結構そういうの好きなんだけどね。
というわけでしおりにもいつになく
力が入る。
4/24当日、
実は前の週から珍しく
風邪をひいていたようで
ちょっと頭痛もあったんだけど
「絶対に違う!」という暗示と気合ででかける。
若干鼻はつまってるけど大丈夫!
東京駅9時24分と遅めの出発だったけど
とりあえず新幹線から
アルコールを欠かすことはできない。
駅地下をぐるぐるしようと早めに出かける。
「朝食のお弁当買っておいてね」
という指令のつもりが
「みんなのつまみも買ったよ!」
「サッポロ見つけたよ!」
なんてメールが飛び交う。
はは、みんなさすが。
低血圧、4人の中では
あまり酒に強くないFはおいといて
呑んべぇ3人が宴会を始める。
旅のおともにワインオープナー、
の、Aっちゃんが早速ロゼの
スパークリングを開詮。
いや~あたしもたいがい酒呑みだけど
新幹線でいきなりワインあける人は
初めて会ったわ。
いや、うれしいんだけどね。
鳥系のお弁当のほか
しゅうまいだの
押し寿司だの
つついてはまわし
つついてはまわし
完全につまみと化す。
いいね、すばらしい。
何の遠慮もなく
好きなだけ酒呑める相手って。
落ち着いたところで
しおりを見ながら
山形の各都市の位置関係に始まり
スケジュールの確認。
みんなじっくり読んでくれるのが
うれしかった。
ま、誰もガイドブック
持ってないから
このしおりを熟読するしか
なかったんだろうけど。
そんなことしていると
となりの紳士が声をかけてきた。
「山形に行かれますか。
よかったらこれ」
と、パンフレットを山のように。
「埼玉で山形の宣伝をしてきた帰りなんです」
どこに行くのかと問うので
しおりを見せると
どうやら天童あたりがお得意らしく
「将棋の駒なら○○へいらっしゃい。
そこからはうちの若いもんがご案内しますよ」
って。あんただれー?
どうやらおみやげ屋さんだの
将棋の駒のお店だの
タクシーだの手広くやられてるところの
社長だかおえらいさんらしく
せっかくなので名刺を頂き。
だけど押し付けがましくなく
「もしよかったら連絡ください。
わかるようにしときますから」
なんて調子。
いいぞー山形人。
人がいいとはウワサには聞いていたけど
いきなりこんなところで遭遇。
お礼を言って別れる。
新幹線は終点新庄に。
ここで時間が少ないけど
駅弁仕入れたりしなくては!と
焦っていたのだけど
まったく小さな駅で。
新幹線のホームと在来線のホームも
延長線上にあって
乗り換えもスムーズ。
かえって時間が余ったので
フリーパスをいいことに
改札を出る。
いよいよ山形に上陸だし
日本酒を買わねば!
と、駅のコンビニでワンカップを物色。
「大山」の酒が美味いとの
Aっちゃんの情報で
ワンカップをなめるように吟味。
そこで在来線に乗り換える。
雪の季節に走るということもあるためか
開くドアに制限がある。
ボタンを押して乗り降りなんてこと
日常にはないので
そんなことでテンションがあがる。
在来線に乗ると
まわりは畑と田んぼ。
遠くの山なみまで延々拡がってく感じ。
遠くに見える山は
あたまに白いものをかぶっていて
日に照らされてきらきらしてる。
美しい。
つらい季節もあるだろうけど
こんな風景を毎日見て暮らしてる人たちとは
やはり心の育ち方も違うってもんだろうよ。
20分ほど乗って
古口で下車。
電車の中からちらっと見えた
舟下りの乗船所は結構遠そう・・
駅前に立ってたタクシー運転手に
尋ねてみると
「あ、そのバスなら100円だよ」
・・ってあなた!
人が良すぎます!
結局タクシー運転手に教えられるまま
バスに乗り、まんまと100円で乗船所へ。
そこの受付の人がまた親切で
この舟だと着いた先でJRの接続がないから
このバスには乗っちゃだめだとか
なんやかんや教えてくれる。
売店でさらに
あったかいワンカップを買い足し
名物の「玉こんにゃく」も買って乗船。
25人ぐらいだったか。
中高年ばかりの船だったけど
(うちらもね)
とりあえず酒盛りしてるのは
うちらだけ。
テーブルにワンカップを並べて
玉こんをほおばる。
渡会の出羽の雪ってのが
美味しかったな。
サービス精神旺盛すぎて
五月蝿いぐらいの船頭さんの案内で
船はすすむ。
船がりっぱすぎるのか
「浮遊感」があまりなく
乗り心地としては
正直イマイチだったかな。
実は以前
雪の季節に来たことがあって
その時はあまりの積雪で川底に船が
あたりそうになり
途中で引き返したことがあるのだけど
正直その方が情緒があったかな。
なので
ますます酒に走るあたしたち。
途中の休憩所で
みなさんがあたふたとトイレに行く中
ゆうゆうと鮎の塩焼きなんて買って
がっつくうちら。
いやでもこの鮎が意外と美味くて!
はっきり行って観光地の鮎だろと
バカにしてました。
なんのなんの大間違い。
ちゃんと身もあって
香ばしくておいしゅうございました。
おばちゃん、ありがと♪
1時間ほど乗って下船。
ここのおみやげ屋さんで買った
「紅の花茶」(お茶の山一 みどり町12-1
0235-23-9743)というのがあたりだった!
梅こぶ茶みたいなちょっとしょっぱい感じで。
お取り寄せしたいくらい。
だけどこのおみやげ屋さんも
あっという間に一周してしまい
注意された通り(というか
調べてあった通り)
JRの接続まで時間がかなりある。
しかも乗ったJRも鶴岡に行くには
乗り換えでまた40分の待ち時間がある。
「ここが一番のロスなんだよね~この旅の。
タクシーで案外時間稼げるかもしれないんだけど」
なんてポロっというと
「聞いてみようよ!」
と、早速下船所のおじさんに
問い合わせるY。
と、すぐにタクシー会社に電話してくれる
おじさん、その名も前田さん
「あん?そんなに高いん?」
早々に電話を切って
「8000円だって。ボケてんじゃないかね、
あのばーさん。もう一軒聞いてあげるから」
と、次の会社には
「7000円で行ってくれない?
若い女の子4人だよ~乗せてってあげてよ~」
なんて勝手に話をつけてる。
こちらとしては
ひとり2000円も払わずに約1時間の節約ができるなら
御の字ですわい。
「でも、うちら見て若くない・・って
Uターンされたらどうしよ」
10分もしないうちに迎えに来たタクシーに
乗り込むなり
「じゃ7000円で」
なんてちゃっかり念押し。
さっきの心配はどこへやら。
やっぱりおばちゃんだな。
しかもたぶん前田さんがお願いした
鶴岡駅より若干遠い「鶴岡城址公園」を指定。
運転手さん、舌を巻いてる模様。
だけど走りながら
まるで観光案内のように
山の名前や、畑で植えられてるもの、
山形出身の芸能人のこと、
山形の嫁事情なんかを
まくしたてる。
へぇ、東北の人って
物静かなのかと思いきや
こんなしゃべるんだ・・・
そうこうするうちに
メーターは7000円に到達。
「まだまだ先なんだけどね~」と
渋々メーターを倒してくれる。
それからだいぶ走ったので
たぶん金額は12000円ぐらいには
なってたんじゃないかな。
ほんとうに前田さんの交渉には
感謝なのでした。
だけど
この運転手さんも親切で
鶴岡公園の中でも
一番花が多そうなところで
おろしてくれた。
「いや~今日は満開だね。
せっかくだから私も
花見させてもらいますよ」
って上機嫌で。
うわーすいません。
ほんと感謝です。
そこで
今年一番の桜を見ました。
今年は花も咲かないうちに
フライングで花見を始めた上
そのあともずっと寒くて寒くて
あったかい日の下で
花を見るなんてことは
ついぞできなくて。
それがもう
タクシーのおかげで
暖かい時間にも到着できたし
花がなんといっても
これ以上ないといった
満開状態で!
「ビールさがそうビールビール」
憑かれたように出店に突進するあたしたち。
だけど桜の下はほとんど人影はなく
きれいな芝生の緑があざやか。
「えーあんなきれいなのに
なんで花見しないのー?」
信じられない光景でした。
東北には花見の習慣は
ないのでしょうか。
なんつってうちらのやってることが
「花見」かどうかは
疑問だけどね。笑
(ただの外呑みだろ!)
花を堪能して
教会で黒マリアなど見物したあと
Aっちゃんが行き着けのバーで
聞き出してきた
鶴岡のバーを探しに
街を歩いてみた。
庄内人らしいあたたかさを持つ
バーテンダーさんなんて聞かされるとさ、
行ってみたくなるじゃん!
ところが
時間を節約してしまったために
バーに行くには時間が早すぎるみたい。
しょうがなく開店前の店の前で
写真だけ撮った。
日が落ちると
すごく寒い日で
一気に凍えてきたあたしたち。
商店街をうろついてみるも
さみしい感じなので
さっさとチェックインすることに決断。
こういう決断も早いメンツ。
今回の旅であたしが
感動したこと。
タクシーをさがして歩いていると
目に入った酒屋さん。
地酒を扱う本格的なお店のよう。
あれこれ教わって酒を買い
「タクシーは駅まで行かないと
拾えないですかねぇ」と
何気なく聞いてみる。
と、「呼びましょうか」
って、お店のおねえさん。
出た!すばらしき山形人!
ここでも親切にしてもらう。
タクシーに乗り宿まで。
寒くてだいぶ疲れも出ていたけど
着いた先で宿にはすぐに入らず
温泉街のみやげもの屋を荒らす。
そう、今晩の酒。
つまみ。
重要なものが揃った!
「九兵衛旅館」は
意外と小さな入口で
迎えてくれた方が
まずお茶を出してくれて
ほっこり。
風呂はさておき、ごはんを
頂きたい感じだったのだけど
そんなわがままにも
いやな顔ひとつせず
対応してくださり
感じのいいお宿。
部屋に荷物を置いたらすぐ
食堂へ・・・
と、思ったら完全個室の
お食事処でまた評価アップ。
窓から見えるお庭も
とく整っていていい感じ。
やるねぇ、この宿!
本日のお献立
①胡麻豆腐
②前菜 そら豆のムース、うるい胡桃味噌、穴子のう巻き
③御造り おうよう 生蛸 桜ますの握り寿し
④春キャベツと庄内豚のとろり鍋
⑤山菜天ぷら たらの芽 山うど こごめ
⑥桜ますと茄子のはさみ焼き
⑦むきそば万十
⑧孟宗ごはん
⑨孟宗汁
⑩漬物 山形青菜漬 庄内柿大根
⑪デザート 庄内産ひめおとめの苺あいす
  庄内麩のフィユタージュ
とりあえずビールを頼んだのだけど
即日本酒に切り替え!
竹に入った竹酒も頼む。
日本酒ちびちびで
料理をちょこちょこと
長い時間かけて食べる。
家族ではありえないし
こういう贅沢旅行って
ほかの友達ともあまりしない。
みんなも「こんな旅行は初めて!
最高だね!」と。
どれも美味しかったのだけど
意外だったのが④。
固形燃料で火をたく
「あの」形式の料理で
こんなに美味しいものは
初めて食べたかも。
あとは実は海に近いせいか
③が美味しく
⑤、⑦も。
⑦なんか最高に好きな味なのに
お腹いっぱいだったのが
少々残念な心持ち。
孟宗は思ったより
普通だったけど
まだ旬ではないということで
しょうがあるまい。
畳に足を延ばして
壁によっかかって
口々に感動を。
部屋に帰り
ちょっと休憩したあと
温泉につかりに。
温泉もわりとすいていて
ぬるめの露天で
みんなでため息。
部屋に帰り
ふとんの上に車座になって
風呂上りの一杯。
さっきお腹いっぱいだったのにね。
じゃ消すよ!
って電気消したのは
何時だっけ。
一瞬で眠った。

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