終わってはじまった2003年を観る

行くつもりなんてなかった。
ミッシェルガンエレファント、
幕張でのラストライヴの
爆音上映会
もうなくなってしまったバンドの
ライヴ映像をただ
大画面で観るって。
なんだよ、それ?
最初はそんな印象だったのだけど。
行ってよかった。
女MJが遅刻して
チケットを持っていないあたしは
ベイホールの前で北風に
30分くらい吹かれていたのだけど。
入ってみるとすでに会場は盛り上がっていて
さながら、ほんとのライブのよう。
画面に向かってこぶしを上げ
歓声があがり
ダイブまで!
2003年当時、
大阪に続いて、仙台という
小さいハコで観たあたしは
幕張なんて広いとこで観ても
気持ちが盛り上がらないだろう、と
冷めていて、
ライヴが始まる時間には
トイレに並んでいた。
けど
あの「ドロップ」のイントロが
流れた瞬間の衝撃は
今も忘れられない。
当日具合が悪いと言っていた
1974妻が「後ろにいますから」
と言ってくれたのをいいことに
荷物も上着も預けて
人をかきわけてとにかく
前に行かなきゃって
走り出したことを思い出す。
その「ドロップ」を
今日は聴くことができなかったのは
少し残念だけど
でもどうやら
間に合ったようだ。
チバの「よく来たね」。
片手に持った
ハイネケンがこぼれそうになるのも
おかまいなしに
あたしのこの体が揺れて
大声で歌いだす。
ミッシェル。
あの完成度はなんだろう。
あたしは解散の時に
一気にすべてのアルバムを聴いたから
どれがどういう順番で
どういう状態で出されたなんて
背景はまったくわからないけど
新しいの古いのどこをとってもいい。
あたしにとってはどれも
2003年のあたしの気持ちと一緒に
よみがえってくる曲。
それってもしかして
すんげー贅沢なのかもね。
長期連載のマンガを一気読みするみたいな?
勢いのある曲が続き
ライヴの方も少しなかだるみしたところで
ビールをおかわりしたりしてたところで
「ブギー」
あの頃のあたしは
アベっきーを観ていたのだと思う。
フロントマンが好きだなんてかっこわりっ、
ってのがあってチバを好きだとは
認めたくなかったのもあるけど
やっぱりミッシェルは
アベっきーによるところが
大きかったのだと思う。
そんなことを思わせるこの曲。
淡々とかっこいいギターを弾くアベっきーに
あたしは今年一番の涙を献上したよ。
ほんとに死んでしまったの?
ミッシェルは二度とやらないし
やってはいけないバンドだって
思っていたけど
でも実際にアベっきーが亡くなって
ほんとうにできなくなってしまった時
どこかでほんとはやって欲しいと思っていた
自分に気付かされた。
まだミッシェルをひきづってる自分。
それはバンドそのものっていうより
「過去への執着」みたいなもの。
そういうもの全部封印することを
当時あたしは彼らの解散に重ねてたんだよな。
うーん。
でもそれは彼らにも難しかったのかな。
最後のシングル
「エレクトリックサーカス」、
を演奏する彼らはそう見える。
全員がこんなにつらそうに演奏する曲って
あるか?
終わることは最初からわかっていたって
それは歌詞にも書かれていることで
世の中すべてがそういうものだと
わかっているつもりではあるけど。
でもそんなぐだぐだ考えてもしょうがないじゃん!
って一気に気持ちを持ち上げてくれた
「ミッドナイドクラクションベイベー」が
かっこよかった。
タンバリンを打ち鳴らすチバ。
両手を高く上げてそれに合わせる
2003年と2009年のあたしたち!
会場全体も盛り上がってきたところで
「スモーキンビリー」。
後ろにいた女MJがあたしをこづく。
この合図で二人はいつも壊れるんだよね。
ここからの時間が最高に楽しく
まわりから人がいなくなる位に
あたしたちは跳びはね、踊り、
雄たけびをあげる。
メロメロだぜーーーーっ。
そして
「リリィ」。
たぶん2003年にスイッチの入った曲、
これだったと思う。
思い出す人、
思い出すことの多い曲でもあるんだが。
声をはりあげて歌っていたら
あっという間に終わってしまった・・・
ライヴも。
スクリーンにむかって
アンコールの拍手をする2009年のあたしたち。
みんなそれぞれの想いを抱えて
2000円も払ってここに来て、
まだ観ていたいと拍手をしたり
声援を送ったりしてる姿は笑えない。
いまだに客をここまで動かすバンド、
それがミッシェルのすごさなんだ。
アンコールはもう
突っ走った。
ここが横浜なんだか幕張なんだか
2003年なんだか2009年だかも
わからない。
そして最後の曲は
ミッシェルのはじまりの曲
「世界の終わり」。
会場大合唱だけど
歌いながらあたしたちは
終わりがあることを思い知らされる。
そうやって無事に
今日のイベントも終わった。
すごいしかけなんだ。
やっぱり出会えてよかった。
自分のために後悔しないよう生きようって
決心した2003年のこと。
終わりではじまりだった年。
そんなことも思い出して
最近小さなことにぶれてる自分にも
活を入れてくれたみたい。
明日からまた新しい自分をはじめよう。
あたしは生きてるんだから。
そうだよね、アベっきー。

「終わってはじまった2003年を観る」への2件のフィードバック

  1. SECRET: 0
    PASS:
    やっぱり姐さん、もう観たんですね!
    私は来月観ようかな~

  2. SECRET: 0
    PASS:
    ありんこベイベー。
    観たのは「Thee Scene」というやつで、「Thee Movie」は
    あたしもまだです。「Scene」は、関東地区はあとリキッドだけ。
    チケットあるかわからないけど、ぜひ観て欲しいな~

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