反省の道~登山②

結局9時間半も寝て
5時半の朝ごはんにあわせて
すんなり起床。
4時ぐらいから小屋を出てゆく人の
物音もあったし
外も徐々に明るくなってきていて。
朝は中華丼とこれまたすごいのだけど
この日は8時間歩きの予定、
男たちにも負けじとおかわり。
朝から中華丼2杯って!
食後どんどん小屋を出てゆく
おもに中高年の人たちを見送り
だらだらと準備の我ら8人。
と、出発予定の7時が近づくと
急に風が出てきて雨雲が通過。
急遽レインスーツ上下を
上から装着。
風が去るのを待って
7時を少しまわってからのスタート。
この日ひとつめのアタック
火打山には小屋に荷物をおいて
「からみ」で登ります。
荷物は水とストックだけ。
朝のウォーミングアップにも
なるってとこでしょうか。
さっきまでの荒れた天気も
歩くうちに晴れて
笹ヶ峰の湿地をまわって歩く道は
ほんとにすばらしい。
小屋が2100ぐらいの標高なのであと300m。
からみだし、となめていたら
これが意外にキツかった。
経験者たちのテンポで行ったら
頂上近くになって
足が上がらない。
岩場ならば
手をついて三点で登ることも
できるけど
一番苦手な階段。
ストックも用をなさず
足の上げ下げが物を言う。
しかもレインウェアが暑くなり
脱いでいたら前方と
距離が離れてしまい
それが気持ちをくじけさせた。
後ろでは経験者のT中くんが
「がんばれ、がんばれ」
と声をかけてくれるけど
ペースがあがらない。
人が前にいればその距離感を
保っていればいいのだけど
自分が前に立つと気が緩む。
少しでも疲れたと思うと
つい止まってしまう。
ああ、こんなことであとの山
どーすんだよ。
自分を攻めるけど
気持ちが折れてる自分がわかる。
今思えばその後の過酷な道に比べて
なんてことはない場所だったのに
体力や難度うんぬんより
気力なんだろうな。
その時やっぱりだめな自分を
見たような気がする。
もう少しがんばればよかった、
がんばれたと今なら思う。
すれ違う人たちにも
「あと少しだよー!」とはげまされ
泣き言をいいながら
のろのろと登ってやっとのことで登頂。
自分では納得できない登りだったけど
山頂の景色はそんなあたしも
受け入れてくれるんだよね。
朝の火打山。まわりに広がる
日本アルプスの山並み。
青い空!
風が気持ちいーーーーっ。
すっかり元気になり
帰りは打って変って
小走りくらいの速さで
山を下る。
なんだか走りたくてしょうがなくって。
登る時には見る余裕もなかった
風景を噛みしめながら。
小屋の近くまで戻ってきて
登ってきた火打山を
湿地ごしに振り返る。
やった!あそこに行ってきたんだね。
2時間ちょっとで生還。
小屋で預けていたナップを受け取り
いよいよ残りの6時間の歩きが
スタート。
先ほどの登りの不安もあり
先を行くという経験者には着かず
すでにへばってゆっくり行くという
U田のペースで行くことに。
まずは
前日に登ってきたぐらいの高さを
下って、二つ目のアタック
妙高山のスタート地点を目指す。
天気は前日に続き良好で
しかも暑すぎずいい感じ!
一気に下る道なので
小走り、というわけには
行かなかったけど
それでもテンポよく。
土が乾いていたので
ごろごろ小石の転がっているところは
用心しながら。
多少のアップも加わり
妙高の登りの手前で
先発組と合流。
標準1:30、400mアップ、1kmの距離を
「40分で登る」なんて言ってる
彼らにはまた先に行ってもらい
U田牛歩組もスタート。
やはりこの登りが
一番キツく、大きな岩や
木の根っこをひとつひとつ
登ってゆかなくてはならない場所
だったのだけど
とにかくU田のペースがスローモー。
へばっている上に慎重な性格なので
着実に登ってゆく分時間もかかる。
何人も後ろから来る人たちに
道を譲り、のろのろと進む。
なのであたしとしてはまったく疲労なく
ただたらたらと着いてゆく感じで
一番の難所のはずなのに
なんとなく物足りない。
かといって経験者たちのペースに
着いてゆけばへばるのは目に見えているし。
その間を自分のペースでひとりで歩くという
選択もあったのにそれもせず。
結局こんな時冒険を
犯さないのは自分だな、と。
もう少しできるかもなのに
限界まで行かない。
自分で自分のおとし前をつけることは
大事だとも思うけど
そうやって先に自分の限界を決めてしまう
悪い癖。
仕事も恋もスポーツをする時にさえ。
それが登山ではそうも行かない、
自分の計れない未知の世界に行ったっと
思えた、、それが楽しかったはずなのに。
こんな余裕でいいのかな・・・
そんなこと自問しながら、
の道のり。
でもこのスローテンポでも
やはり初心者のNNちゃんはへばり気味。
荷物が重かったせいもあるみたいで
すれ違う人に「もうすぐですよ」
なんて声をかけられても
答える気力もなさそう。
ずいぶん健闘してると思ったけど、、
と思ったところへ
救世主登場。
なんと先に登頂していたT中くんが
戻ってきてくれたのです。
からみで山を跳ぶように戻ってくる
T中くんは言い方は悪いがまるで
「山猿」!
毎回のように誰かの荷物をかつぎに
戻って来てくれる、ほんとに
頼りになるお方なのです。
今回はNNちゃんの荷物を受け取り
「あと少しあと少し」
と、後ろから声をかけて
皆のモチベーションをあげてくれ。
感謝です。
おかげで少しペースもあがり
やっとの妙高山登頂。
山頂では1時間近くも前に到着した
先発隊がお待ちかね。
申し訳ない・・・
でもここの山頂の景色もすごかった!
まさに雲の上にいる感じ!
足元の緑とむきだしの岩場、
遠くの山なみと、あれは日本海?
という風景までも。
すでにしびれを切らしていた
先発隊はわれわれの顔を確認すると
早速下山の途へ。
あとは温泉を目指すだけ。
水と栄養を簡単に補給して
しばらくして
残ってくれた
リーダーKAIちゃんと
スロー組も続くことに。
ここの下山は大変だった。
ひたすら岩場の下り。
岩もかなり大きく
いちいちダメージがあるので
なるべく腰を落として
ストックと手も多用。
ひざを守りつつ。
こうなると写真を撮る
余裕もなく
黙々と目の前に道を
こなしてくことの連続。
また時間の感覚もなくなる。
U田のペースも落ちる一方。
妙高を下りきって
温泉のある燕まで
アップダウンの道を
行くというところで
リーダーとNNちゃんとあたしは
先に進み、あとから来る
U田とU田についてくれてる
K村くんを何分かごとに
振り返って待つという体勢に。
ここでやっと
自分のペースを守れたという感じ。
下りは無心で足を出すしかないので
止まってしまう心配はないけど
なかなかつらい作業。
足先に負担がかかって
足の指が靴のなかで悲鳴をあげてるのがわかる。
足を止めてU田たちを待っていると
膝もだんだん笑ってきている。
それでもあとは降りるだけ!
温泉とビールが待ってる!
時間配分を気にするKAIちゃんは横で
気が気じゃなかったようだけど。
ペースが遅いのはしょうがないけど
やはり暮れてしまうのが
一番危険なのだそう。
かといってU田をおぶるわけにも行かず
進んで待ち進んでは待ちして
声をかけるしかない。
自分も過酷な道を同様に歩きつつ
そういうことを考えるなんて
すごい!
同じく山を登っていても
さっさと先に行ってしまう人もいるし
またそうしたくても余裕が持てない人もいるし
そういう山ならではの人間模様も
面白いところだなぁと思う。
ここまで来たら
時間的にも大丈夫!
というところで
最後のはげましをして
下り始めたところ
またも山猿が戻ってきた!
「遅いから心配しました」と。
えーさっき戻ってきた距離より
大分あるし
もう温泉入れる状況なのに戻って
来てくれるって・・・。
U田の荷物を受け取り
みんなをはげましつつ
歩いてくれるT中くん。
いやいやほんとにいい
山仲間に会えたものです。
でも彼の話によると
先発隊も結局それぞれに分かれてしまい
ひとり違う道を行ったTマスくんが
かなり早い時間に宿着。
聞けば、計画通りに
我々が来た道は
遠回りだったよう。
しかも明らかにこちらの道のが
過酷だったって。
まあここまで来たら
がっかりするより
そんな道を降りて来れたんだね、って
プラスに考えるしかないが。
ほどなく温泉近くの川に到着。
登山道も一気に平らな
砂利道に。
いやー長い道のりでした!
到着が17時だったので
朝の7時に歩き出してから
10時間か・・・
疲労はあまりないけど
とにかく足が痛い。
時間も長かったし。
宿は燕温泉は「樺太館」。
とりあえず温泉に入ろう!と
割り当てられた三階の部屋に
行こうとするけど
階段を昇るのがつらいつらい。
とりわけももの前側の筋肉が
痛い・・・
手すりにつかまって
のろのろと移動。笑。
お風呂は白濁で
卯の花が踊ってる。
前日風呂がなかったせいもあり
ほんとうにすっきり。
すぐに食事で
ビールビール!
アサ○だけどもうなんでもいい!
全員無事生還の乾杯をして
ごくごく飲んだビールの美味いこと!
でもアサ○のいやな味がしなかったのは
ここらの工場で作られてるのでは?
なんて憶測もでるくらい。
でもこれみんなの
共通の感想。
気のせい?
お料理は
旅館のこまごましたお料理。
山菜の和え物や菊の酢漬け、
てんぷらに煮物、
あじの焼きものに
鴨のたまごとじ鍋、
ビールはひとり大瓶二本近く
さらに日本酒も飲んだけど
ごはんもがっつりいただきます。
てな具合で。
一気に腹も膨らみ
「じゃ、あとで飲み部屋でね」
と、声をかけあったものの
部屋では沈没。
2時間ほど眠って
次の日の朝のことなど
計画しようと飲み部屋を覗いたら
やはり沈没してました。
疲れたよねぇ。
そんなわけで
次の日松本へ向かう
NNちゃんとあたしは
食事を早めにしてもらったので
下山後あまり彼らを
話をする暇もなく残念でしたが。
また登りましょう。
ちなみに
ぐっすり眠って
しっかり朝風呂も入り
朝ごはんには
湯豆腐と鮎の甘露煮に
山菜、温玉子と
盛りだくさんだったけど
これもがっつり。
食後のコーヒーもニクい!
ちょうどいいバスがないので
タクシーを呼んでもらったり
登山靴をいれる袋を
用意してもらったり
宿のおかみがなかなか
すばらしい人で
いい宿でした。
歴史ある宿のようでしたよ。
遅れて食事をしている
男たち6人に別れを告げ
スカートに履き替えて
松本へ。
足取りはまだまだ
筋肉痛でおかしな感じですが。
松本の話はまた。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です