いろんなとこ、くすぐられた夜

言うまでもなくあたくし
酒飲みですが
帰ったらすぐ寝るんで
意外に早寝です。
そのあたしが
久しぶりに3時まで
うたた寝もせず
観てしまった映画
ライフイズミラクル』。
エミール・クストリッツァ監督
です。
彼の作品は
たしか最初に
偶然レンタル屋で手にとった
『Super 8』と
その後に
『アリゾナドリーム』を観たんだけど。
どちらも気に入ってしまい。
とにかく
彼のビジュアル感覚に
とても共感できる。
カメラワークって一言では
すまされない
場面へのアプローチ
人物のカメラへの入り方、
去り方。
やわらかい陽だまりの下で撮ったかのような
色調。
目にとびこんで来た時に
境界を感じさせない
自然と造形物と人間たちの輪郭。
1秒1秒が
実にバランスのとれた構図の
絵画たちのようで。
ベッドが空を飛ぶなんていう
架空のシーンでさえ
美しい。
大まかなストーリーとしては
旧ユーゴの紛争という
シビアな背景の中
戦地で捕虜になった息子を
救い出すために
交換捕虜として確保した
敵軍の名家の(と誤解された)娘と
恋に落ちてしまった男の話、
なんだけど。
常にくすくすと笑える
エッセンスが詰まっていて。
悪人も善人も
ロバもにわとりも犬もネコも
みんな愛すべきキャラクターで。
観ていて顔がほころぶ。
それにこんなのあったらいいな!っていう
うるさすぎない色あいの
キュートな小物たち。
画面のすみずみまで
監督の粋が
感じられるような。
主人公の男は
ボスニアの山奥に線路を轢く仕事を
しているのだけど
まだ開発中の線路を
タイヤのない車や
トロッコや
自転車みたいなもので
行き来したり。
車でありながら
軌道からはみだせないまぬけさと
テンポなんかが可笑しくて。
あたしは動物が
あまり好きじゃないのだけど
ジャムを塗ったパンを
かじろうとしたら
反対側から
食いついてくるネコや
絶望して泣きながら
線路で自殺を図るロバが
ほんとにいたら
トモダチになりたいよ!
しかし
犬とネコがからみあったり
熊が風呂に入ったりってあれ、
特撮じゃないのかな?
だとしたらものすごい!
必見です!!
人間でいうと
主人公もいい味出しているのだけど
そのロマンスのお相手が
めちゃかわいい。
しかも常にかわいいんじゃなくて
主人公からみて
うとましく感じたり
どうでもよくなる時には
そんな風に見えるんだよね。
演技なのか演出なのか
いずれにしろ
そんなところもレベル高し。
また彼女の表情で最高だったのは
これから主人公と二人で
逃避行しようとしている
オーストラリアっていう
未知の土地に思いを馳せながら
用を足すところ。
あの表情はいいよな~。
その白いきれいなお尻を
銃口から覗かれているのにも
気付かず。
一番好きなシーンは
徴兵されていた息子が
帰っているらしいと
急いで主人公が家に帰ると
息子がソファーで寝ていて
起こしたいのを我慢して
毛布をかけてやって
自分もその横で眠ってしまう。
息子が帰ってきた
うれしさがその寝顔に出てるのだけど
彼が抱いている犬も
同じ安堵の表情で
眠っているっていうシーン。
しかも朝になって
今度は目覚めた息子が
旅立たなくてはならなくて
父親に毛布をかけて
結局言葉も交わさずに
戦地へ行ってしまう・・
あたしはその場面で
「ああ!」って
思わず声をあげてしまったよ。
別れというつらさの裏にある
あたたかくて強い絆。
この映画の根底に流れ続けているものの
ような気がした。
それと
主人公とチェスをしようと
やってきた郵便配達が
空爆の揺れでコマが
飛びそうになるので
コマの底に
ジャムを塗りたくって
並べてるシーンとか。
けんかして
おきざりにされたヒロインが
泣きじゃくりながら
主人公をさがしに
野原を走っていると
途中の木に彼の蝶ネクタイが。
ズボン、シャツ、うわぎ、
コート・・・と
道しるべのように
結び付けてあるそれらを
回収しながら行くと
その先で毛布にくるまった
彼がにやにやして
待っている、、なんて。
めちゃキュート!
ラテンのストレートや
情熱とは違って
なんかこう
まわりくどい感じが
あたしたちの感覚に
近い気がして
そういうのも
くすぐる!
先日の数学者の言葉じゃないけど
もしかしたら
「涙の浸透と堆積がある」
からなのかもね。
それとこの映画を観て
気になったのだけど。
もしかして
いしいしんじは
この映画に影響を受けたの?
っていうくらい
イメージがダブる場面が多い。
町の人たちが
集まって楽器を演奏している場面は
まるで「麦ふみクーチェ」だし
そのあと熊狩りに行くのは
「プラネタリムのふたご」。
しかも熊狩りには皆
楽器を手にしているし。
パーティにいた双子も
ちゃっかりいたずらしているし。
この映画でないにしても
いしいさんは
東欧をイメージしていたのかなぁ
なんて。
ま、たいぶ力説しましたが
そんぐらい
いい映画でした。
おすすめよん。
今日のお弁当は。
しょうがごはん
しらすかけ
たまごやき
ゴーヤサラダ
じゃがいもとピーマンと
高野豆腐の炒め物
手羽元酢醤油煮
肉の代わりに高野豆腐
使ってみたのだけど
思ったほど悪くはない。
出汁にひたしたあと
もう少し水気を切ってから
炒めた方がよかったかな~。
でも食後に
きのう買った
ガトーフェスタハラダの
オレンジケーキ
食べてしまいました。
だってせっかく買ってきたんだもん。
同僚にもおすそわけして。
しっとりしていて
美味しかったな。
最近フルーツケーキが好き。
ま、しばらくおアズケだけど。
ラスクは朝ごはんに
食べるならいいかな~。
まーあたしのダイエットは
ゆるゆるってことで!
もう終わってる?

「いろんなとこ、くすぐられた夜」への2件のフィードバック

  1. SECRET: 0
    PASS:
    エミール最高!!この監督さんは
    動物を使っての表現の仕方が凄いです・・

  2. SECRET: 0
    PASS:
    しばどの、ほんとそうだね!
    前にコメントくれてた黒猫白猫、観たいな~

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